生理痛について
中医学では、正常な月経は痛みが起こらないものとされています。
個人差はありますが、一般的に以下のような月経が健康と言われます。

・月経周期は1ヶ月間の±7日で、毎月一定間隔
・月経期間は、3日~7日間
・PMS(月経前症候群)がほとんどない
・月経痛、不正出血はない
・排卵期に、下腹部の張りや排卵痛がない
・経血の色は、赤~暗赤色
・経血にレバー状の塊が混じっていない

しかし、現代ではさまざまな要因から生理痛を抱える女性が多いです。
中医学では以下のようにタイプが分かれますが、いずれも「」のめぐりが悪い、もしくは「」の不足により痛みが生じるという中医学の原則によります。

実証の場合は生理が来る前に痛みが起こり、生理が始まると緩和することが多いです。
虚証の場合は生理が始まったあとから痛みが発生し、終わった後も痛みが止まらない、ひどくなる場合があります。

気滞血瘀タイプ
ストレスを受けて「」のめぐりが滞り、それによって「」のめぐりも悪くなって痛みが起こります。生理前〜生理の前半に痛みが出やすく、イライラ、憂うつ、肩こり、頭痛、便秘なども起こりやすくなります。PMSの症状も出やすいタイプです。理気活血の作用がある食材がおすすめです。

・寒凝血瘀タイプ
冷えによる血管収縮によって「」のめぐりが滞り、痛みが起こります。生理前~生理の前半に痛みやすく、温めると一時的に緩和されます。経血の色は暗く、レバー状の塊が混じっていて、生理周期は長くなります。活血止痛の作用がある食材がおすすめです。

・気血両虚タイプ
胃腸の虚弱、疲労などによって「気」と「血」が不足し、子宮に必要な栄養を与えることができずに痛みが起こります。気虚血虚の両方に当てはまる状態です。生理の後半や生理が終わった後まで痛みが出やすく、経血の色は薄くなります。痛む場所に手を当ててさすると痛みが緩和されます。補気補血の作用がある食材がおすすめです。

・肝腎虚弱タイプ
加齢、過労、虚弱体質などによって「腎」が弱まると精血が不足し、子宮に必要な栄養を与えることができずに痛みが起こります。生理の後半や生理が終わった後まで痛みが出やすく、経血の色は暗く量が少なくなります。痛む場所に手を当ててさすると痛みが緩和されます。滋補肝腎の作用がある食材がおすすめです。

湿熱阻滞タイプ
食べ過ぎ、飲み過ぎなどの食生活の乱れにより体内に「湿」と「熱」がこもり、血と混ざることで気血のめぐりが悪くなり、痛みが起こります。生理前~生理の前半に灼熱感のある痛みが出やすく、経血量が多く、経血やおりものに粘り気があります。脂っこいもの、激辛のもの、お酒の過剰摂取が原因です。清熱利湿活血の作用がある食材がおすすめです。


いずれのタイプものめぐりをよくする食材を摂り、体を冷やさないようにし、普段から健康的な生活習慣を送るよう心がけましょう。
さらに詳しく自分の体の状態に合った日頃の体質改善方法を知るには、体質診断をご活用ください。

対策とアドバイス

  • 冷やすと悪化するタイプの方は特におなかを中心に温め、体を冷やさないようにしましょう。
  • 食べ物や飲み物は温かいものを選ぶようにしましょう。
  • 熱すぎない温度の入浴で体を温めましょう。
  • ストレスが多いタイプは、ストレスをためないように発散し、深呼吸などでリラックスしましょう。
  • ウォーキングやストレッチなどで適度に体を動かしましょう。
  • 締め付けるようなタイトな下着や洋服を避けましょう。
  • タバコは控えましょう。
  • 太衝、内関、関元、命門、足三里、三陰交、太谿、帰来、血海、次髎、腎兪などのツボを押すのもおすすめです。

中医学的ポイント

改善に必要な作用
理気、活血、温陽

おすすめの食材

  • 理気:ミント、みかん、ゆず、春菊、セロリ、紫蘇、キャベツ、マッシュルーム、ジャスミン茶、玫瑰花、キンモクセイ
  • 活血:紅花、サンザシ、ハイビスカス、サザンカ、里芋、あずき、茄子、ニラ、蓮根、あさり、ひじき、栗、黒キクラゲ、青身魚、桃、納豆、ワイン
  • 温陽:杜仲茶、シナモン、くるみ、ムール貝、エビ、羊肉、鹿肉、ニラ

おすすめの薬膳茶ブレンド

紅茶、なつめ、玫瑰花、サンザシ、クコの実、紅花

監修医師

医師・黄田 正忠
医療法人社団忠恵会理事長、東洋医学未病対策研究会常任理事

中医師・和田 暁
高級中医薬膳伝授師、薬膳アカデミア創立者、世界中医薬学会連合会常務理事